薬物依存と中毒は、どう違う?

 

 

 

 

 

 

 

薬物依存に対する誤解の1つに、「身体が薬漬けになった状態」 というものがある。
同じ過ちを犯す芸能人などを見て、「気持ちが弱い」 と語るのは簡単だ。

 

 

薬物依存に本人の意志が関係しているのは事実だが、
そこだけを見ていては、本質から目を背けることになる。

 

 

薬物依存の本質は、脳が薬物を欲しがる、「精神依存」 なのである。

 

 

従って、いくら気の持ちようと言ってみたところで、
脳が欲しがっているのだから、自分ではどうしようもない。

 

 

専門家や周囲の協力なしには、依存からは、
決して抜け出せないことを、認識してもらいたい。

 

 

また、薬物問題が報じられる時、幻覚や妄想などが起きる、”中毒症状” や、
その結果で起きた、犯罪ばかりが注目を集め、薬物の怖さは、これらだと思い込みがちだ。

 

 

裏を返せば、中毒症状さえなかったら、
薬物を使用していても、問題ないと考えている、
薬物依存症患者は、実に多いのである。

 

 

薬物依存を考える際、「乱用・依存・中毒」 と、3つに分けて、
その関係性を理解することが、とても大切だ。

 

 

順に言うと、

 

 

 

”乱用” とは、
「ルール違反の薬物を、自己使用する行為」 のことである。

 

 

この乱用を繰り返し、
「脳が薬物を欲しがらずには、いられなくなった状態」 が、”依存” である。

 

 

さらに、依存して乱用を繰り返し、
「肉体も精神も破壊され、異常な行動に出る状態」 が、”中毒” なのだ。

 

 

 

中毒症状が緩和したところで、脳は元に戻っておらず、
依存状態は継続したままである。

 

 

だから、釈放されても、依存状態が保たれたままなので、
再び、薬物に手を染めるのである。

 

 

この辺りのメカニズムの正しい理解なくして、薬物問題は決して解決しない。

 

 

「乱用・依存・中毒」
すべての状態を治療することなしに、改善はあり得ないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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